はいじどう、ぜんじどう。

なんでも自動で出来る時代になると思ってたらそうでもなかった。

令和タクシー物語

終電までで終わるだろうと見込んでいても何かとトラブルのあるのが現場で、先日も24時終わり予定だったのにすっかり25時を超えてしまったので営業と途中まで乗り合わせてタクシーで帰ることにしました。

ちょうどいいとばかりに、そういえばあの件を話していなかった、この件の見積もりもお願いしないと、みたいに打ち合わせをしていて、気づけばまず彼が先に降りる場所に到着。

もうこんな時間だけど明日は現地9時でよろしくーみたいな会話をしてタクシーに残った私は、次の日の靴を決めるべく(天気に左右される)携帯で天気予報を見ていました。

「二人とも若いのにえらく仕事熱心だ。正直そういう人を久しぶりに乗せた気がする」

そう運転手さんがおっしゃいました。

いやいや結構良い歳だから別に若くはないです、多分思われてるより私も彼も結構いってますよと伝えたのですが、お二人がたとえ40代50代だったとしてもここまで仕事に熱量を持って話をできる人はなかなかいないと、私たちのことをこんな風に話してくれました。

 

このタクシーを拾った場所からして、どこでどんな仕事をされているのかは察しがついた。しかもこんな時間まで。そして明日の朝も早くからきちんと集合する。今の時代には合っていない働き方だからそれはどうなのかなと思うけれど、みなさんタクシーに乗るとね、愚痴をこぼされるんですよ。会社のこと、上司のこと、新入社員のこと、もう山のように出てくる。お二人はそれがなかった。来週のこと、明日のこと、あれはこうできるねああできるねって話し合っているのを見てとても懐かしくなった。自分のやっている仕事に誇りを持っていて、自信がないとそんな話にはならない。今のサラリーマンは疲れすぎている。愚痴ばかりこぼすのは自分に自信がない証拠だと思う。僕は長く経営をしてきて、いろんな話を聞きたさに余生はタクシーの運転手をしたいと思ってこの職を最後に選んだ。でも今の日本のサラリーマンは皆、本当に疲れている。やってやろう、みたいなものがない。

でも二人は違った。さっきお姉さん言ってたね、あの仕事は他に取らせたくないから絶対うちで取るよ、私がやるからには取るからあなたは自分のできる仕事を最速でやってくれたらいいと。その心意気を、普段このタクシーを昼間にぼんやり使う、管理職の連中に聞かせてやりたい。今の若い子には本当に覇気がなくて話も面白くない人が大半なんだけど、いやいや探せばいますよって、いまここでスピーカーでもつけて宣伝してまわりたいですよ。

僕らの時代は未来について語り合うのが本当に楽しかったし、毎日とにかく時間が足りなかった。それを、お二方を見て思い出したんです。あの頃の熱量を持った人が今でもいるのだと。

 

そうなんです、ベタ褒めしてくれたんです。

「私はあくまでも社会人スキルとしては平均値だと思いますけど」と返しましたが、そういう返しができるのも相当な"人と話す"場数を踏んでないとできないんですよと言われて、そんなことなかろうよと思ったんですけどこれには仕事に感謝せねばならんと思いました。

 

私自身、今の会社には不満しかないのであの場でいくらでも愚痴ろうと思えば百でも千でも会社の悪口が言えたんですが、でもそれ以上に本当に時間がなくて打ち合わせしたりすり合わせる時間もなくてあの場で喋るしかなかったというのが本当のところなんですよね。

でも、単純に嬉しかったです。

仕事は好きなので、好きなことが伝わったのだろうと思いました。

 

そのあとは雑談をしていたのですが、お話の上手な運転手さんで家につくまであっという間でした。

あまりタクシーに乗ることはないのですが、褒めてもらったのもあるけれど、久しぶりに人といっぱい話したことでちょっとストレス発散にもなりましたね。

 

そんなこんなで、GWも仕事てんこ盛りですが私はただただ頑張るだけですよ、と。