はいじどう、ぜんじどう。

なんでも自動で出来る時代になると思ってたらそうでもなかった。

その道を行くという強い心

今仕事でお世話になってる、某工場に先日行ってきまして。テレビでたまにその工場が特集されるんですけど、今回は放映直後だったので「いまクレームの電話対応が大変で」ということをおっしゃっていました。まあ、どういうことかいいますと「このご時世でこんな人の育て方はありえない」というクレームなんですよね。

結構その都度SNSでも話題になるのでご存知の方も多いかと思うのですが、日本でこんなにも厳しい職場があるのかというレベルです。いまどき言葉で言えばレベチです。だがしかしここで育った人たちは人格が一般人と違う。ただただ人として"出来る"人たちの集団で、私なんかが踏み入れてはいけない領域だと肌で感じました。

5年間修行の身なんですけど、男女問わず入ったら坊主。有無を言わさず恋愛禁止、酒タバコスマホ禁止、親からの小遣い禁止、完全寮生活とか山のように決まり事があるんです。これを20代ないし30代の五年間、毎日毎日こつこつとこなして修行をしていくんですよ。二度風邪引いたら減給で三度目でクビ。まじかよって思うじゃないですか。まじなんです。

 

私たちの業界も精神力と体力が全てで、どっちか一つが欠けると自然と脱落していきます。朝早く起きる気合いと、夜遅くまでかかってもやり通す根性、それを休みがなく毎日毎日続けていける体力がないとどうにもなりません。風邪で1日休もうものなら仕事が何件も止まってしまうからです。だから、風邪を引きやすいっていうのはだめなんですね。

 

それにしても一流の職人さんというのは本当に出来た人しかなれないものなのだと、私なんかこの中で言ったら人間レベル最低だなと思った1日でした。

ただ、若手扱いされていて笑、工場から工場までは基本ダッシュ、あれはなんの素材か、あれはどうやってできているかわかるか、などなど色々と試されて冷や汗しか出ませんでした。

テレビだけ見ていると中のことはわかりません。

でも、その中では絶え間ない努力と、テレビに映らない部分の色々な葛藤や思いがあると思うんです。クレームをつける人たちに是非見て欲しい、本当に彼らが「道を行くために生きている」姿を。そこには霞んだものはなにもないし、彼らの目と手は本物であると私は確信しました。彼らが10の人の心を持っているとするなら私はほんの1か2です。それくらいの差があります。

こんな工場が日本にあってくれてよかった。厳しさあっての職人への道だと思いますが、強い心を持って、どんどん日本の技術を底上げしていってほしいです。いつかあそこの職人さんたちがつくったものを買おうと思っています。